人と人を繋ぐ、アート・デザインの専門書店
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等身大な世界を求めて。

電車に揺られながら、ふと、違和感を抱く時がある。

私がよく利用する阪急電車(神戸)は、内装もレトロで可愛らしく、車窓から見える山々は四季を通じて、とても魅力的な姿を見せてくれる。そんな景色を見るために、私はいつも南側の席に座ることを決めている(神戸は 北=山、南=海 というシンプルな地理なのだ)。

しかし、ふと周りを見渡すと、こんなにも素敵な空間・時間に身を置いているにもかかわらず、居合わせている全員が手の中の小さな画面に目を落とし、みなイヤホンで耳を塞いでいるのだ。こと、コロナ渦においてはそこにマスクが加わり、穴という穴を塞がないと生きていけないのか?と宇宙服を連想して笑ってしまう時がある。目を輝かせながら窓の外を眺めているのは、今や、ベビーカーに揺られる赤ちゃんだけだ。

 

(私はアウトアドアが好きなので)もっと自然に目を向けたらいいのに...と思うのだが、同時に「そんなにも情報を浴び続けなければ、人は生きていけないのか」と、疑問を抱いてしまう。

スマートフォンと共に現れたGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)は、どこまでもスクロールだけで流れる世界を生み出し、一度覗いた商品ページはCookieによってどこまでも自分のことを追いかけてくる。自分が「能動的に探し出した」と思い込んでいる情報は、実は「受動的に誰かに見せられている」ものなんだ、と感じるようにようになった。

 

「情報の中立性」という観点で、書籍・出版を見つめ直すと、最近少しずつ注目されている「独立系マガジン」がとても面白い。従来、多くの雑誌は「広告欄への広告掲載費」が収益の大半を占めており、広告欄の価値を落とさないために絶えず民衆の目を引くよう企画内容を試行錯誤してきたが、独立系マガジンは、「自分たちのコンテンツを読者に買ってもらう」ことで売上を立てている。まさに、広告主から独立しているわけだ。

誰かに媚びることなく、自分たちが面白いと感じたキーワードをとことん追い求める彼らによって紡がれるストーリーは、等身大の文化を届け、今 自分が住む世界を正しく教えてくれる...ように感じる。出版社も、企業活動として出版しているために、恣意的な力が全くかかっていないと言い切ることはできないだろうが、世界を正しく捉えるための視点のひとつになってくれるのではないだろうか。

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